[こんにゃくWord 学習帳]
「田舎こんにゃく」って、なんなん?
店頭で「田舎こんにゃく」とパッケージに書かれた商品、見たことありませんか? アチラの店でも「田舎こんにゃく」、コチラの店ではまた別の「田舎こんにゃく」……。
実は、「田舎こんにゃく」と謳った商品は、世の中に溢れているんです。しかし「田舎こんにゃく」と呼ばれていても、その原材料や製法が同じワケじゃーありません。
じゃあ、「田舎こんにゃく」ってなんなん?(←宇多田ヒカルさんや吉田沙保里さん調に)
その答え(かもしれない)のが、「坊主とこんにゃくは田舎が良い」ということわざ。
田舎の黒いこんにゃくは、都会の白いこんにゃくよりもおいしい。お坊さんも同様。余計な処世術を身につけた都会の人物よりも、朴訥(ぼくとつ)とした田舎の人の方がお坊さんにふさわしい……という意味のことわざだそうです。
「田舎こんにゃく」ググってみた。
お坊さんに関してはさて置き、果たして、本当に“田舎のこんにゃく”の方がイイのか、チョット考察してみましょう。
「田舎こんにゃく」を検索すると、白こんにゃくではなく、グレーや黒&手作り感のあるこんにゃくがヒットします。ことわざの意味が示す通り、田舎のこんにゃく=黒で、都会のこんにゃく=白なのでしょうか?
もちろん、現在はそんなことはありません。でも、昔々はそうだったのかも……。
後ろはこんにゃく芋。
というのも、こんにゃくが黒っぽい&点々模様が入っているのは、もともとは、こんにゃく芋を摩り下ろした時の外皮が入っていたからなんです。
交通事情が悪かった時代、芋は傷みやすく重いため輸送が困難でした。そのため、芋を乾燥させた“荒粉”(こんにゃく粉のもと)が発明され、芋の産地以外でもこんにゃくが手軽な食材となりました(詳しくはこの記事を)。
つまり芋の外皮が入った黒っぽいこんにゃくは、芋の収穫される田舎でこそ身近な存在だったと言える……のかもしれません。
現在もこんにゃくには、芋から直接作られたものと、こんにゃく粉から作られたものが存在します。原材料名に「芋」と書いてあるもが前者、「こんにゃく製粉」「こんにゃく粉」と書かれたものが後者。芋が原料のこんにゃくは、“生芋こんにゃく”なんて呼ばれ、ちょっとプレミアムな扱いを受けています。
試しにスーパーの売り場で、複数の商品の原料表示を見比べてみてください。粉から作られたこんにゃくの方が、圧倒的に多いことに気づくはず(こんな感じで見分けてネ)。同時に、粉で作られたこんにゃくも黒っぽいことに疑問を抱くでショウ。
刺身こんにゃくも海藻(主に
青のり)で色付けされてマス。
粉が原料のこんにゃくは外皮が入らないはずのなのに、ナゼ黒いか? それは、海藻を混ぜているからです。粉を原料にしたこんにゃくは、本来白滝のように白いわけですが、こんにゃくと言えば黒っぽい……という昔ながらのイメージに合わせ、海藻で色を調整しているワケ。
ちなみに「田舎こんにゃく」と謳った商品にもさまざまなものがあり、必ずしも原料が芋とは限りません。粉を原料に使い、昔ながらのバタ練りにこだわったこんにゃく(バタ練りとは)にも、「田舎こんにゃく」と書かれたものがあるようです。なかには、単なるイメージでネーミングしていると思われる商品も……。
ことわざ「坊主とこんにゃくは田舎が良い」の影響力(かも?)、おそるべし。
近日お目見え予定。新商品❤︎
栃木県日光市でシャチョーくんが手がけるこんにゃくには、「田舎こんにゃく」とは書いてありません。しかしどの商品も、こんにゃく粉を使って手に取りやすい価格を守りながら、味染み◎のバタ練り製法で作っていますヨ。